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裏切ったと言うのなら、それは私をこんな酷い目に合わせている真央兄ちゃんの方だ。
「お前さ」
真央兄ちゃんの声のトーンが下がる。
顔は背中を向けられていて見えないけれど、なんだか真面目な雰囲気だった。
「何?」
私も騒がずに聞き返す。
「俺と結婚するって言っただろ?」
「は?」
今、何と?
結婚する?
私が?
真央兄ちゃんと?
「ちょっと待って。え? どういうこと? 私をここに拉致ったのって、結婚の約束をさせるためだよね? それが、結婚するって言ったってどういうこと?」
ここに拉致られてすぐ、真央兄ちゃんは私に結婚の約束を迫った。
いきなり拉致られて。
鳥籠になんて閉じ込められて。
しかもそれが異世界で。
他にも真央兄ちゃんの家が異世界に繋がってるとか。
さらには真央兄ちゃんが魔王だとか!
わけわかんないことだらけの状態で、いきなり結婚の約束とか出来るわけないじゃん!
それで結婚するって言ったって何?
そんなこと言ってないよ!
「覚えてないのか? 小さい頃に俺と結婚するっていつも言っていただろ」
「そんなこと言っ……た。言ったね……。真央兄ちゃんと結婚するって……」
小さい頃の私は真央兄ちゃんを独占したくて、真央兄ちゃんと結婚するとことあるごとに言っていた。
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