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「付き合わないのか?」
「うん」
「断ったのか?」
「うん」
「……他に誰かに告白されてたり」
「ないよ!」
何だこのしつこさ。
「じゃあ何で結婚は嫌なんだ!」
私はその言葉に黙る。
「どうした? 嫌なんだろう?」
まだ黙る。
「何だ?」
まだまだ黙る。
すると、真央兄ちゃんが立ち上がって、鳥籠に近付いてきた。
私は真央兄ちゃんを見ないように、フイッと顔を背ける。
「何か言え」
真央兄ちゃんが鳥籠の檻の間から手を伸ばしてきて、私のアゴを持ち上げて視線を合わせた。
真央兄ちゃんの瞳は真っ直ぐに私を見ている。
かあっと頬が熱くなるのが分かった。
「結婚は嫌じゃないのか?」
「……嫌じゃない」
私は観念して答えた。
「俺のこと嫌じゃないのか?」
「……嫌じゃない」
「じゃあ……」
真央兄ちゃんは少し視線をさ迷わせてから、口を開いた。
「俺のことが好きか?」
「……好き」
小さい頃から真央兄ちゃんが大好きで、それは今も変わっていない。
それどころか、その気持ちはどんどん膨らんで、止まらなくなった。
膨らみ過ぎて、結婚するって言葉が恥ずかしくなって言えなくなった。
抱えきれないほどの気持ちが恐くて、それを隠すようになった。
だから、真央兄ちゃんから結婚しようって言われて、本当はすっごくすっごく嬉しかった。
真央兄ちゃんは私の好きって言葉を聞いて、花が開くように笑った。
そして、檻ごしに抱き締めてきた。
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