隣の家の魔王

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「え? 何でだ? 俺のことが好きなんだろう?」  好きだけど、これとそれとは別だ。 「す、好きだけど……。私は怒ってるんだからね」 「何にだ?」 「この状況にだよ!」  急に拉致されて、いまだ鳥籠の中。  誤解はとけたようだけど、一生監禁されるところだった。  これで結婚が受け入れてもらえると何故思える。 「それにまだ結婚するような年齢じゃないし」  私はまだ十五歳だ。 「順序を守ってよ」  気持ちを伝え合って即結婚は早すぎる。  色々と。  色々とやりたいことがあるんだ。  デートとかデートとかデートとか! 「分かった! 守る! だから結婚しよう!」  また真央兄ちゃんがギュッと抱きついてくる。  真央兄ちゃんの暖かさにドキドキする。  けれど、ここははっきりさせとかなければ。 「だから早いって!」 「だが、今回お前が誰かのものになるのかと思ったら心臓が縮む思いがした。結婚して安心したい」 「そ、それは……」  真央兄ちゃんから執着されているようで嬉しいけど、さすがに結婚は突っ走り過ぎだ。  これどうやって断ればいいんだ。 「ちょっとよろしいですか」  どうしたもんかと悩んでいたら、銀髪の人が近くまで来ていた。 「花嫁って魔王様はこの子供を愛人にするつもりですか?」  愛人と言われ、私はギョッとする。 「愛人になどするつもりはない」 「ならば、婚約者のアイリーン様はどうなされるのですか?」 「婚約者?」  婚約者なんて初耳だ。
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