十こ目 忠義を尽くす信奉者

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「だが、それには時間がかかる。山の中に、特異な能力を持つ仲間が待っているが、まだ少数だ。それに私は、これから長き眠りにつかなければならない」 私は思い出した。 不死の存在になった者は、長き眠りにつかなければならないことを。 彼は話を続けた。 「ある程度活動すると、必ず激しい眠気に襲われる。それは不死身になった副作用だ。お前もやがてそうなるだろう。数か月から数年、または、百年以上眠ることもある。それ以外にも、記憶障害が起きたり、五感も過敏になる」 そこまで言うと、景政公は懐から一本の短刀を取り出す。 「切れ味が鋭く、永遠にさびることのない短刀だ。これを武器にしろ」 そう言いながら、その短刀を私に与えた。 右手に持った一本の短刀。 無力で無能な私が、唯一手に入れた力強い武器。 それに、景政公の左目をはめられたことによって、不死身になることができた。 副作用はあるが、体は腐ることなく、死ぬこともない。 私は短刀から目を離して顔を上げると、彼に礼を言った。 「再び、お前と会える時が来るのを楽しみにしている」 景政公は、そばにいる右目がない馬に乗った。 馬がいなないた。 「お前は、私の息子だ」 景政公は低い声で言うと、馬を走らせ、墓場から立ち去って行った。
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