十こ目 忠義を尽くす信奉者

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彼はその後、しばらく山の中で隠れるようにして暮らしていたが、やがて、仲間を求めるために人里に出たと言った。 その理由は、死ぬことに対して人一倍、恐怖と不安を感じていたが、不死者になってからは、一人でいることに恐怖と不安を感じるようになったためだ。 そのような思いを抱きながら人里に出て来たものの、容貌の不気味さと醜さゆえに、大半の者は拒絶するか、無視する、酷い者になると罵ってきたらしい。 一方で、少数ではあるが優しき者もいて、顔見知りになり、親しく話すこともあったという。 「私にとっては、そのことは当然心地良いことだった。親しい関係がいつまでも、続いてほしいと願っていた。だが、願いは叶わなかった。またしても強烈な眠気に襲われ、意識を失ったからだ」 景政公が、悲しげな表情で言った。 彼が次に目覚めた時、土の中にいた。 人々から死んだと思われ、地中に埋められたのだ。 その時になって、彼は理解したという。 親しくなった人々に、何の挨拶もなく別れなければならないつらさを。 次に目覚めた時には、親しくなった人々や、見慣れた町が跡形もなく消え去っているという恐怖と悲しみを。 彼は即座に、考えを変えたという。 不死身ではない人々と親しくなるのではなく、自らと同じような能力を持つ者を探すか、自らの能力を誰かに分け与えて仲間を増やすこと。 彼は、新たな行動を起こすことを決意したのだ。 そういった経緯で、彼は、寺の墓場で倒れていた両目がない私のことを見つけ出し、黒い羽織などを身につけさせた後に、自らの左目を授けたと言った。
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