244人が本棚に入れています
本棚に追加
彼はその後、しばらく山の中で隠れるようにして暮らしていたが、やがて、仲間を求めるために人里に出たと言った。
その理由は、死ぬことに対して人一倍、恐怖と不安を感じていたが、不死者になってからは、一人でいることに恐怖と不安を感じるようになったためだ。
そのような思いを抱きながら人里に出て来たものの、容貌の不気味さと醜さゆえに、大半の者は拒絶するか、無視する、酷い者になると罵ってきたらしい。
一方で、少数ではあるが優しき者もいて、顔見知りになり、親しく話すこともあったという。
「私にとっては、そのことは当然心地良いことだった。親しい関係がいつまでも、続いてほしいと願っていた。だが、願いは叶わなかった。またしても強烈な眠気に襲われ、意識を失ったからだ」
景政公が、悲しげな表情で言った。
彼が次に目覚めた時、土の中にいた。
人々から死んだと思われ、地中に埋められたのだ。
その時になって、彼は理解したという。
親しくなった人々に、何の挨拶もなく別れなければならないつらさを。
次に目覚めた時には、親しくなった人々や、見慣れた町が跡形もなく消え去っているという恐怖と悲しみを。
彼は即座に、考えを変えたという。
不死身ではない人々と親しくなるのではなく、自らと同じような能力を持つ者を探すか、自らの能力を誰かに分け与えて仲間を増やすこと。
彼は、新たな行動を起こすことを決意したのだ。
そういった経緯で、彼は、寺の墓場で倒れていた両目がない私のことを見つけ出し、黒い羽織などを身につけさせた後に、自らの左目を授けたと言った。
最初のコメントを投稿しよう!