十こ目 忠義を尽くす信奉者

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その理由は、あまりにも多くの人間が、右目がない彼の顔を見た時、冷たい反応をしたからだ。 無視する、罵る、非難する、からかう、拒絶する、侮辱する、悪口を言う、陰口を言う……。 そのような扱いを受け続けて、人間を信じられなくなったという。 右目がないという外見上の理由だけで、人々の多くが冷たい反応をするのだから、彼が不死身であるということがわかれば、より激しく拒絶するだろう。 人々は、冷たくて残酷で傲慢な上に陰険な生き物だと、彼は確信した。 「右目がなかった私は、確かに醜い存在だったのかもしれない。だがそれ以上に、その私に冷たい仕打ちをする人々の心が醜かった」 景政公は、怒りを含んだ声で言った。 少数の優しき人々に親切にされても、それ以上に、心が醜き人々から受ける仕打ちによって心は傷付けられていく。 この世に優しき者など、実は一人もいない。 世の人間は、特異な人間を受け入れることはない。 良い面を見つけることもない。 悪い面を見つけ出し、何度も何度も非難する。 人間の本性は悪だ。 実に醜い生き物だ。 ならば、醜き悪の心を持った者がこの世に多くいる以上、そのような者たちを滅ぼすか、支配するしかないと彼は言った。 そして、景政公の考えを信奉する者や、特異な能力を持つ者を集めると彼は言った。 差別や偏見のない帝国を、江戸に必ずつくると、力強く彼は言った。
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