十こ目 忠義を尽くす信奉者

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……私は、立ち去って行く彼の後ろ姿をしばらく見ていた。 今まで、神や仏の存在を信じていなかった。 でも今は、神に匹敵する存在は二人いる。 それは、優しさにあふれた母と、私に、自らの左目と短刀を授けてくれた景政公である。 その二人によって、二度、生を受けた。 神である景政公が、私のことを受け入れてくれたのだ。 私は、景政公の息子、神の息子となったのだ。 彼こそが真の父であり、兄であり、友であり、神であると確信した。 そしてこの恩を、いつか必ず返そうと心に誓った。 恩を返す方法は二つある。 一つ目は、男たちを殺すこと。 私は復讐を兼ねて、醜き悪の心を持った男たちを滅ぼす。 景政公の理想を実現させる、手助けになるだろう。 二つ目は、真の右目を見つけ出すこと。 いつの日か、この右眼窩に真の右目をはめた顔を、景政公に見せたいと思った。 なぜなら彼は、私に光を与えてくださった神であり、何物にも代えがたい友であるからだ。 命を救ってくれた神である景政公の理想を実現するために、私は彼に対して、絶対的な忠義を尽くす信奉者になることにした。 そして、彼が言う帝国の実現に力を尽くすとともに、自らの右眼窩に当てはまる右目を探し求めようと心に誓った。
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