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……私は、立ち去って行く彼の後ろ姿をしばらく見ていた。
今まで、神や仏の存在を信じていなかった。
でも今は、神に匹敵する存在は二人いる。
それは、優しさにあふれた母と、私に、自らの左目と短刀を授けてくれた景政公である。
その二人によって、二度、生を受けた。
神である景政公が、私のことを受け入れてくれたのだ。
私は、景政公の息子、神の息子となったのだ。
彼こそが真の父であり、兄であり、友であり、神であると確信した。
そしてこの恩を、いつか必ず返そうと心に誓った。
恩を返す方法は二つある。
一つ目は、男たちを殺すこと。
私は復讐を兼ねて、醜き悪の心を持った男たちを滅ぼす。
景政公の理想を実現させる、手助けになるだろう。
二つ目は、真の右目を見つけ出すこと。
いつの日か、この右眼窩に真の右目をはめた顔を、景政公に見せたいと思った。
なぜなら彼は、私に光を与えてくださった神であり、何物にも代えがたい友であるからだ。
命を救ってくれた神である景政公の理想を実現するために、私は彼に対して、絶対的な忠義を尽くす信奉者になることにした。
そして、彼が言う帝国の実現に力を尽くすとともに、自らの右眼窩に当てはまる右目を探し求めようと心に誓った。
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