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「あれ?
冬麻、今日は眼鏡?」
そう言って自販機の前で僕を呼び止めたのは柏崎 紀(カシサキ カナメ)君。
知的財産部のホープだ。
僕、弦久 冬麻(ツルナガ トウマ)とは同期だけど、柏崎君は入社1年目にして周りからの注目度が高く、なんか遠い存在。
僕が所属する総務部とは同じフロアだから、こうやって顔は合わすけど・・・。
「見たこと無かったな。冬麻が眼鏡かけてるとこ。」
「ん。
これ、デスクワークの時しかかけてないから。」
柏崎君は僕の顔をまじまじと覗き込んでくる。
たまらず、僕は顔をそらして自販機にコインを入れる。
僕は、この柏崎君がすきだ。
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