雪の匂い

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「あの、和海さん?」 「ん?」 「僕、ちょっと休憩したいんですけど……。」 「気にするな、大丈夫だ。」 「はあ?!だ、大丈夫じゃないです!休憩!」 慌てて逃げようとしたけれど、時すでに遅し。 和海さんの大きな手はがっちり僕の足首を押さえつけ、強引に足を開かせてきた。 「ちょ、ちょっと!力任せに開かないでください!」 「壊れやしないから安心しろ。」 「こ、壊れたら困りますよ!い、痛いことしない約束でしょ!」 「痛いことはしないが、無理はさせないという約束はしてないからな。」 「は?!」 よくもまあ詭弁をすらすらと!! ニヤリとやらしーく笑った和海さんは小ばかにした顔で言う。 「契約内容をよく確認するのは商売人の大事な心得だ。勉強になったなぁ?」 「……っ!貴方のことは好きですけど、そういうところはだいっきらいですからね!!」 「おっと、傷つくじゃないか。」 「う、嘘ばっかり!顔がニヤニヤしてるんですよ!」 「はははっ!」 朗らかに笑う顔が不覚にも可愛く見えて一瞬体から力が抜けてしまった。 その瞬間を和海さんが逃すわけもなく、和海さんは僕が先ほど出したものを指に纏わせると、入口をなぞるようにして触れてくる。 「ひゃ、あっ!や、それやだ!くすぐったい!」 「じゃあ、これは?」 グチュっと音を立てながら中に入ってきた指の熱に、体が自然とのけぞる。 「んあっ!ぁ、だめ、そこ……!」 「だめじゃないだろう?こうして浅いところを弄られるの好きじゃないか。」 「あっ、あ、ん!そんなに、指動かしちゃ、いや、ぁ!」 「『だめ』とか『やだ』とか『いや』とか、そればっかりだな。」 ふっと笑って太腿にキスをした和海さんは、ゆっくりと指を奥へ進めていく。 「あ、ぁ、……ふ、あ……!」 指の腹が内壁の隙間を強引にこじ開けていく感覚の生々しさはいつだって僕のことを責めたてる。 中、擦れて気持ちいい……  そのとき、和海さんの指が中で曲げられた。 「ひっ!あぁっ!」 前頭部を殴られるような感覚。 僕の“いいところ”だ。 というより、和海さんの手によって“いいところ”にされたところ、と言った方が正しいのかもしれない。
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