雪の匂い

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「ん、んぅ、っ、あっ!かずみさ、んっ、っあぁ!そこ、ばっかり、っ、……や、ぁ!」 「また『やだ』か。」 「ちが、う……や、だけど、そうじゃ……。…………き……。」 「き?」 「…………きすしてくれなきゃ、やだ……。」 そっと見上げた和海さんは、ずいぶんと余裕のない表情に変わっていた。 さっきまでのへらへら顔はどこにいったんだろう。 「あんまり煽るなよ?」 言葉は怖いけど、声は融けそうなほど優しい。 僕の唇に触れた唇は、それよりももっと優しかった。  熱くて融けあってしまいそうなキスのあと、僕は和海さんの胸に顔を寄せる。 お尻の中にとどまったままの指では物足りなくてもぞもぞと足を動かすと、もう一本指があてがわれた。 「痛くないか?」 「は、はい。」 「力抜けよ。」 「はい……。」 関節がしっかりした和海さんの指に押し広げられたそこはどんどん熱を帯びていく。 柔らかく甘い快感は体中を痺れさせ、お臍の下あたりがぐずぐずと疼いた。  「ちゃんと慣らす」と言った言葉通り、和海さんは丁寧に僕の体を拓いてくれた。 だけどきっとわざとなのだろう。 一番いいところにはなかなか触れてくれない。 一度イくと際限なく快楽を得ようとしてしまう僕の体を気遣ってのことだとは分かっていたけれど、もどかしくてたまらなかった。 はやく、欲しい。 和海さんが、早く。 ひくつくソコに、指じゃないものが欲しい。 ずるずる続く快感で視界は涙でくもる。 すぐ近くにあるはずの和海さんの顔でさえぼやけてしまって、なんだか心細かった。 浅い息を繰りかえすせいで頭の中は酸素が足りずにぼうっとするし、これならいっそ酷くされたほうがいい。 体の中で響く水音を他人事のように聞きながら、僕は和海さんの目を覗き込んだ。 嗚呼…… 和海さんももういっぱいいっぱいなんだ………… 獣のような表情で僕を見下ろす和海さんを見ていると、きゅんと中が疼いた。 「……和海さん、もう……。」 その先は言わなくてもいい。 だって、和海さんは言わなくても分かってくれる。
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