雪の匂い

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どうしてそんなところに手を……? 気持ちよさでぼうっとする頭を必死に働かせながら和海さんの行動の意味を探ろうとしていたとき、和海さんは腰の添えた手を思い切り手前に引いた。 「ひあっっッ!!」 お尻の骨が和海さんの腰骨に音を立ててぶつかるほどの勢いで引き寄せられ、和海さんのが一番深いところに刺さる。 「あ、っ、あ……んあッッ!!」 身構えていなかったところに突如訪れた横暴なまでの快楽を貪り、僕は頂に達して震える。 涙なのか唾液なのか分からないものが頬を伝い、鎖骨のくぼみには汗がたまる。 下でとぷとぷとあふれるそれもお腹を濡らしたけれど、もはやそれを気にする余裕は残っていなかった。 「……ぁ……はっ、あ、は、はぁっ……。」  声が上手く出なくて酸欠の金魚のように口をぱくつかせていると、和海さんの唇が覆いかぶさってきた。 和海さんの呼吸を分けてもらいながら、体を貫く強烈な熱に惑っていると、和海さんのものが中で一層硬くなる。 一体何に反応してそうなるのかは分からないけれど、おかげで僕のお腹の中はめいっぱいだ。 「お前のその表情が好きだ。」 いきなり言われ、僕はつい顔をしかめてしまう。 自分がどんな顔をしているかなんて、分からない。 一つ言えることはもう汗やら涙やらでぐちゃぐちゃになり、とてもじゃないが「綺麗」とは言えないであろうということだ。 「どんなかお……?」 かすれ声で尋ねると、和海さんは耳元に顔を近づけ低い声で囁く。 「その蕩けた顔だ。」 とろけた、かお…… ああ、それはそうだろう とろけもする だってこんなにも僕を深く暴くのだから こんなにも僕を愛し、僕から愛を引き出すのだから とろけてしまって当然だ 「かずみさんのせいだからね。」 「そうか?」 「そうだよ。……責任、とってくれないと許さないから。」 「安心しろ。俺の一生をかけて責任を取ってやる。」 「やくそく?」 「約束だ。」 きっぱりと言い切った和海さんは指輪をはめた僕の薬指に自分の指を絡めた。 「お前がこの指輪をはめている限り、俺はお前のものだ。」 お前のもの…… なんて甘い響き 和海さんの一生が僕のもの そして僕の一生も…… 「かずみさんにもあげるね。」 「ん?」 「僕をあげる。」
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