雪の匂い

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「……本当に、手に負えないやつに育ったものだ。」 「それ、褒めことば?」 「ああ、最大の賛辞だ。」 それを裏付けるように柔らかくほほ笑んだ和海さんは、僕の腕を引いて上半身を起こした。 向かい合って和海さんの膝の上に座る体勢になった僕は、その密着度と顔の近さに心臓が跳ねる。 「ちょ、ちょっと、これ恥ずかしい……。」 しかもまだ繋がったままだし……。 「お前の顔を近くで見たい。」 「ま、まじまじと顔見ないでください。」 「いまさら恥ずかしがることもないだろう。」 「そ、そんなことない……あの、なんでまたおっきくなってるんです?」 「恥じらうお前に興奮したから?」 「ぼ、僕に聞かないでくださいよ!き、きつい……。」 「たしかに、お前の中はいつまでたっても窮屈だな。」 「っあ!ぐ、ぐりぐりしないで!」 どうしよう この体勢すごく奥まで招きこんでしまいそう…… もうさっきからびくびくと内側が震えるのが止まらないっていうのに、これから滅茶苦茶に突かれたりしたら……想像するのも怖い。 怖いけれど、 一方で期待してしまう自分もいる もっともっと和海さんと深いところで繋がりたい 僕が僕でなくなるまで和海さんに染めてほしい そして、和海さんをもっとよくしてあげたい  僕は意を決して自分の腰を揺らす。 和海さんは意外そうな顔をして目を見開いたけれど、すぐに僕の背中に手を添えてくれた。 自分で腰を揺らすというのは何時まで経っても慣れないものだ。 前後にこすりつけるようにして腰を動かさなければいけないということは分かっていたけれど、上手くできている自信は全くない。 和海さん、ちゃんと気持ちよくなってるかな? 不安な気持ちになって和海さんの顔に視線をやると、熱っぽく濡れた瞳と視線がぶつかってしまった。 「あ……。」 思わず口から飛び出た声を聞いた和海さんは、わずかに目をすがめる。 よかった…… ちゃんと気持ちよくなってくれてる…… そうだ、手……。  背中に添えられている和海さんの左手を引いて自分の顔の前に持ってきた僕は、長い指先にありったけの愛情をこめてキスをする。 それから薬指口に含み、できるだけ奥に咥え込んでから噛んだ。
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