雪の匂い

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「っ……。」 微かに眉をしかめた和海さんを見ながら口を離した僕は、薬指の根元にまるで指輪のように残った噛み痕を舐める。 指輪のかわりにしてはこころもとないけれど、遠目で見ればまるで指輪のように見えるはず。 それも、和海さんへの想いがたくさん流れる血と同じ赤色の。 「和海さん、好き……。」 噛み痕に唇を寄せて呟くと、和海さんの大きな手が僕の腰を掴んだ。 「和海さん?」 怖い顔をした和海さんは僕の目をじっと見てから、妙に爽やかな笑顔を浮かべた。 「今のは煽ったお前が悪い。」 「え?っあ!あう、っあぁ!!」 う、うそ いきなり?!  腰が逃げられないように押さえつけられた状態で、和海さんが下から腰を突き上げる。 圧迫感で内臓が押し上げられそうになって、口を閉じようとしても閉じられない。 「あ、ぐっ、あっ!!ン、―ッ、んあっ、んっ!!」 和海さんが出入りする度に内側の襞がまくり上げられ、擦れて融けそうになる。 ぱちゃぱちゃと跳ねる水音は体の中の奥深いところからして、頭まで突き抜けていく。 過ぎた快感に惑う体は熱をはらみ、肩まで紅色に染まる始末だ。 「ひあっ!!あっ!!だめ、っあぁ!こ、われ、ちゃう……ンぐッ!!」 力が抜けてだるんと体のわきに垂れた腕は、和海さんが腰を突き上げる度にぶらぶらと揺れた。 ときおりその爪先が自分の太腿を掠めて行ったけれど、自分の意思ではとうにも力が入らないのだから仕方がない。 ささやかな痛みを甘受しながら、僕はそんな痛みを吹き飛ばしてしまうような刺激に体をのけぞらせる。 「う、あ、も、ぅ、っんあ!!もう、だめ、ほんとに、あぁ!!ひっ、あっ!あ~~~ッ!!!」 かたかたと震える体にキーンと体中に響く耳鳴り。 下半身が溶けだしてしまいそうな甘い痺れ。 僕の体ははしたなくもまたイッてしまったらしい。 「は、ふ、ぁ……あ……。」 ずるずると続く余韻で白む視界を手繰り寄せていると、またしても下から突き上げられる。 「やあッッ!!やらぁ、まだ、だめぇ、あっ、まだ……!!あぅ、イ、ってる、のに……!!」
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