雪の匂い

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僕の都合なんて知らんとばかりに、和海さんは腰を揺する。 落ち着くことを許されなかった僕の体はずっと達しっぱなしになり、蛇口が壊れた水道のように熱いものが零れ続けた。 「やらっ、やらぁ!!こわれる、やぁ!!あっ、だめ、へん、っひあ、ぅあっ!!」 「前も止まらなくなってるんだな。」 面白がるような口調で言ってから、和海さんは僕を額に自分の額を押し当てた。 「あつ、い、っ、かず、み、しゃ……おなかあつい……!」 「英、俺のこと好きか?」 「す、き……!っ、あ、すき、だいすき……ひっ、あぁッ!!だめ、また……!!」 だめだ、もう頭の中がぐらぐらして和海さんの声まで遠くなる 気持ちよすぎて怖い 目の前がまっしろ 「かずみさん、すき……すき……!」 「英。」 あ…… 低いかすれ声で名前を呼ばれたあと、僕の中にいた和海さんがどくんと脈打ち、間もなくお腹のなかにじわりと熱いものが広がっていった。 「ゃ……すごい、奥に……。」 「あー……これは掻き出すのが大変だな。」 「ばか……。へんたい……。」 嗚呼、本当はもっと悪口を言ってやりたいのに、眠い……  ぐらついた僕の体を抱きとめてから和海さんは僕の体ごとベッドに倒れた。 そして僕の頭の下に腕をあてがい、左手を握る。 銀の指輪がはめられた僕の指を愛おしそうに見つめた和海さんは、汗で濡れる僕の髪を撫でながら僕の名前を呼び、返事をしようとした僕の唇にキスをした。 おかげで逆流してしまった返事は結局使い道もなく、僕は和海さんの手を握りしめたまま目を閉じた。 頬を寄せた和海さんの手からは微かに雪の匂いがして、 「嗚呼、きっと外は寒いのだろう」 なんてことを考えながら、僕は体を包む温もりに身を融かすのだった。 ―終―
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