雪の匂い

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和海さんの言う通り、もう一週間していない。 何度見ても大きなこれを、上手く受け入れられるだろうか?  頭をもたげたささやかな不安に気が付いたのか、和海さんは落ち着いた声でおだやかに言った。 「十分に慣らしてやる。それに痛いことはしない。」 「……約束?」 「約束だ。」 「じゃあ、もし約束をやぶったら和海さんとは絶交ですね。」 くすくす笑ってから僕のシャツの釦に手をかけた和海さんは、笑ってるくせに真剣な目で言った。 「絶交は困る。」 「僕もいや。」 わざとべったりと甘えた声で言ってやると、「この性悪」という楽しそうな声が返ってくる。 こんなやり取りをもう何度しただろう? 五年もの月日が経っているんだ。 それこそ数えきれないくらいしたんだろうなぁ。 「なに感慨にひたったような顔してるんだ。」 和海さんの手によってシャツを剥かれ、火照る肌が露わにされた。 じんじんと疼く尖端に冷気が触れ、僕は思わず腰を浮かせる。 その隙間に手を滑り込ませた和海さんは、僕の体を引き寄せて濡れた舌で鎖骨をなぞった。 「あっ……ぅ、ん……!」 舌先に掬い取られた理性に、心臓はますます速足になっていく。 体中を血が巡る感覚に眩暈のようなときめきを覚えながら、桃色に色づいた尖端は物欲しげにぷっくりと膨れていた。 それには和海さんも気が付いてるはずなのに、和海さんの舌はわざとそこを避けるようにして胸の真ん中を滑っていった。 「ぁ、な、んで……!」 「焦れていやらしい顔するお前が見たいから。」 「っ!い、いじわる。」 「なんとでも言え。」 嗚呼、本当に腹の立つ むっとして睨んでも和海さんは全く気にするそぶりがない。 こんな意地悪な大人に「性悪」なんて言われてたまるものか  上半身をわずかに持ち上げ、僕は口を使って和海さんのタイを引っ張った。 和海さんの上半身はぐらりと揺れ、僕の胸と和海さんの厚い胸がこつんと音を立ててぶつかる。 和海さんの心臓の音は僕と同じくらい早く打っていて、きっと和海さんだってもう我慢の限界が近づいているはずだ。 だから僕はそのまま何も気が付かないふりをして、和海さんの耳元に顔を寄せ、わざと熱い吐息が和海さんの耳たぶにかかるようにした。 それからダメ押しのもう一手。
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