雪の匂い

9/17
290人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「かずみさん…………ぎゅって……して?」  すると、頭の上から和海さんの舌うちの音が聞こえてきた。 「この、性悪め。」 どうやらこの駆け引きは僕の勝ちのようだ。 蘭之助さん風に言うのであれば、「ザマァ見やがれってんだ」といったところだろうか。 長い腕が僕の体を抱き締め、和海さんの見た目よりも柔らかな髪が胸に触れる。 そしてその後で濡れた唇が胸の頂に触れた。 「ゃ、あっ!」 上唇と下唇で挟まれたそこは、充血してとくとくと脈打つ。 さっきからずっと焦らされて鋭敏になりすぎた触覚のせいで、和海さんの息が触れただけでもどうしようもなく感じる。 そんな状態だというのに和海さんは遠慮なくそこを甘噛みしたり、舌で吸い取ったりするものだから、僕の口からはだらしない喘ぎ声がぽろぽろと零れていった。 「ぁ、ふ、んっ、ん……っく、ぁ!」 「おっと、下ももうこんなに濡れてるのか。」 そう言いながら僕の下着を押し下げた和海さんは、先走る蜜を纏って震えるものをゆるゆると扱きだす。 「あっ!や、ぁ、りょうほう、だめっ!んっ、ふぁっ、あっ!もう、で、でちゃう……!」 「胸をいじっただけでこんなにぐちゃぐちゃにして。」 「い、言わないで、いじわる、んぁ、あっ、ね、ほ、ほんとに、もう……っ!」 「いいぞ、出して。」 「や、ら、っか、かずみさんの手、よごしちゃう、から……。」 「いいって言ってるだろう?」 「ふ、え?!あっ!や、待って!そんなにしたら!」 ぐりぐりと親指の腹でてっぺんをこすられ、乳首を吸い上げられた僕は、抗うことのできない快感の波に腰が揺れた。 「ま、って、あぁ!っあ!う、ぁ、っ!出ちゃう、っん、んあっっ……!」 どくんと全身に響くような痺れが下腹部で弾け、体から力が抜けていく。 びくびく震え続けるそこからは煮詰まっていた欲情が零れていった。 あーあ、 結局和海さんの手を汚しちゃった…… 「かずみさん、ごめんなさい……。」 一度吐き出すとしばらくは気だるいのが男の体の面倒なところだ。 地に足がつかないようなふわふわとした気分で謝罪の言葉を口にすると、和海さんからは無駄に清々しい笑顔が返ってきた。 ……なんだか嫌な予感……。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!