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「ほら、早く出て行ってよ!」
念を押すように、もう一度強めな口調で言うと頭上で深いため息をつくのが聞こえた。
――え?
間宮くんの反応に違和感を覚え顔を上げた私の目に映ったのは、さっきまでの可愛らし顔をのぞかせていた彼ではなかった。
「そんなこと言うんだ……」
声のトーンが明らかに低く、そして顔つきも……
昨日の記憶が蘇り、本能的に危険な予感がした。
早く追い出さなければ……
そう直感的に思い、ドアを開け間宮くんを追い出そうと身体を起こしかけた矢先に
「涼子さんて本当に可愛いですね」
想定外な言葉とともに肩を軽く小突かれた私の視界は大きくブレ、景色が変わる。
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