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「やっぱり涼子さんて可愛い」
身構える私に間宮くんは嬉しそうに指の背で頬を撫でる。
そしてゆっくりと私との距離を詰めだす。
「ちょっと、やり過ぎじゃない?」
唇が触れるか触れないかギリギリのところで、ソレを遮るように冷ややかに言葉を口にする。
ピタリと間宮くんの動きが止まり、ほんの少しだけ離れ私の顔を見てきた。
「いくら失恋してむしゃくしゃしてるからって、こんなことして虚しいだけじゃないの?」
今度は目を逸らすことなくはっきりとした口調で言うと間宮くんはバツ悪そうに苦笑いを洩らし、そして私を解放した。
「残念。今朝の事でちょっとは同情して許してくれると思ったのに、案外堅いんだね」
どこか人を小馬鹿にしたような言い草に苛立ちを覚える。
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