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「いい加減にして!」
言葉と同時に手を思いっきり間宮くんの頬をめがけて振り下ろす。
でも聞こえると思っていたパンッという乾いた音も手の痛みもなく、代わりに手首に微かな痛みを感じた。
「暴力反対」
私の手首を捕らえた間宮くんがニヤリと勝ち誇った笑みを見せた。
「離してよ!」
手を振り払おうとしたが、さすがに男の力に敵うわけもなく私の手は間宮くんに掴まれたまま。
「何か勘違いしてない?別に隠していたわけじゃないし、俺の事はどうだっていいの。でも涼子さんは違うんじゃない?」
間宮くんの言葉に心臓が激しく脈打つ。
一難去ってまた一難。
やっと抜け出せると思った矢先に谷底に突き落とされたような衝撃を覚え、私は返す言葉が見つからなかった。
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