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仕組まれた夜 #2
「涼子さん、何でそんなに機嫌が悪いの?」
気づくと、いつの間にか背後に間宮くんが立っていた。
―――ワザとだ。
分かっていて私を茶化し、その反応を見て楽しもうとしているんだって分かった。
「そう?別に機嫌悪くはないけど」
振り返り、ニッコリと余裕の笑みを浮かべる。
「間宮くん邪魔なんだけど、そこを退いてくれない?コーヒーを運びたいの」
臆することなく自ら間宮くんの方に歩み寄り、距離を詰める。
さすがの間宮くんも一歩後退り、道を上げてくれた。
―――勝った。
心の中でガッツポーズをして颯爽と間宮くんの横をすり抜けようとしたが、不意に肩を掴まれたかと思うと
「涼子さん、二人の時は名前で呼ぶように言ったよね?」
引き寄せ、わざと耳元で囁くように言ってきた。
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