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だけど、ここは会社の最寄りの駅で、電車の中なら心配はなかったが電車を一歩降りると、どこで誰に見られているか分からないのだ。
「誰かに見られたら困るでしょ。先に行くから間宮くんはゆっくり来てね」
間宮くんの手を軽く振り払い、私は1人速足で歩き始める。
顔が熱い。
いや、それよりも間宮くんから離れたというのに未だに、うなじに間宮くんの指の感覚が残っているような気がして落ち着かない。
まるで私が欲求不満みたいじゃない。
これは全部、朝から変な事をした間宮くんのせいだ。
あとで絶対に文句のひとつでも言ってやらないと気が済まない。
なかなか治まらない身体の火照りと胸の高鳴りを誤魔化すために私は、更に歩くスピードを上げて会社へと向かった。
間宮くんとの事を見られているとも知らずに……
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