視線

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「何を急いでるのよ」 早く店から離れたいと 自然と速足になる私に 由香里が高いヒールで歩き難そうに着いてくる。 「ごめん。でも由香里が店で大きな声を出すから悪いんだからね。 由香里がトイレに行ってる時も視線が気になって仕方なかったんだから」 足を止め文句を言う私に 「気にし過ぎだって。 誰も見てないよ、あんなことくらいで」 少し呆れ気味に言いながら笑いのける。 言われてみれば由香里の言うとおり、 視線を感じた気がしたのは私が変に気にし過ぎたせいかもしれない。 だけど…… 不意に何か気配を感じた気がして振り返るが、 やっぱり誰もこちらなんて見ていない。 ―――やっぱり気のせいか。 .
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