14人が本棚に入れています
本棚に追加
「小嶺<コミネ>さん、これ、交換しよう?」
小学4年生の3学期に、2分の1成人式で、記念にと行った紙漉き<かみすき>体験。
それで作った栞を交換しようと言ってきた、クラスメイトの斎藤匠志<サイトウタクシ>くん。
見た目、凄く細くて小さくて、今にも折れそうな腕や足。
私との接点といえば、1ヶ月に1回くらい回ってくる日直が同じだということ。
「えー私、もう自分の名前書いちゃったよ……」
「僕も書いたよ。
それでさ、10年後の成人式にまた交換しよう
よ。」
「え?でも、なんで?」
「それは、10年後に教える。
じゃあ、約束ねー。」
ニカッと笑って、私の栞を奪い取って、斎藤くんは彼のそれを私に押し付けた。
一方的な約束。
私は、いいよ、なんて言ってないのに。
最初のコメントを投稿しよう!