しおりの記憶

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 高校を卒業した後、私は地元の小さな会社に就職し、事務員として働いている。  毎日同じことの繰り返しで、平凡な日々を過ごしている。  中学を卒業してからは、全く彼に会うことなく過ぎて……5年近く経った。  今日は、約束の日。  成人式。  振り袖に身を纏った私は、栞をバッグに忍ばせて式場へと足を運ぶ。  当の斎藤くんは覚えてるんだろうか?  式場の外で大勢の人の中から彼を探してみる。  そう簡単には見つかるはずなくて。  中学や高校の時の友達と会って、お互い「おめでとう!久しぶりー!」なんて声を掛け合ったりなんかして。
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