しおりの記憶

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 式が終了し、私はそこに座ったままで居た。  最前列で立った彼の姿をずっと目で追っていると、キョロキョロと辺りを見回す彼。  そして……  目が合った。  その瞬間、私は思わず顔を伏せてしまった。  ドキドキが増した。  顔を上げず目を瞑って、このドキドキを落ち着かせようと深呼吸を幾度となくした。  ドキドキが落ち着いたと思った頃…… 「小嶺さん?」  ドッキーン!!  私の胸は早鐘のようにまたドキドキと打ち始めた。  私は目を開け、顔をゆっくりと上げた。
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