しおりの記憶

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「また交換して、私の返してくれるんでしょ?」  ここで私のと交換して返してもらったら、彼との接点はもう無くなってしまうかも知れない。  でも私は、気の無いふりをして栞を彼に差し出した。 「そうなんだけど……」  フーッと、斎藤くんが息を吐いた音がした。  そして、袴の袖口から長方形の紙を取り出した。  たぶん、私の栞。  彼はそれを握りしめ、舞台の方を向き、あのさ、と話し始めた。
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