第一章 目覚め

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「知らないんですか? 世界の新堂って言われる電子工学の専門家ですよ。  その先の栖鳳(せいほう)学園の教授で。  此処のシステムは横浜館オープンに合わせて国の要請で、わざわざ教授のゼミで構築されたものなんです」  だが、実際セキュリティは止まっている。ロビーの隅にある監視カメラも動いていない。 「でもまあ、万が一館全体のセキュリティがとまったとしても、ホルスの眼の周りには、指示系統の違う別のシステムが張り巡らされているはずですけど」  伊集院は窓際の床に散らばる壺の破片を踏みそうになって、おろしかけた足をまた上げた。 「振動で落ちたのか? こりゃ、展示品も危ねえな」
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