第一章 目覚め

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   外へ追い出された伊集院は、引き戸のすぐ側で愚痴る。 「なんで僕ら出なくちゃいけないんですかね?」 「そりゃお前、診察っつったら、服脱いだりするからだろ」 「特に今、何処も悪くないのに、そんなことしないでしょ。  だいたい、なんで看護師さん連れて来てないんです」  伊集院のその口調に、葛西はにやりと嗤う。 「……お前、あの医者嫌いだろ。  男前だからか?」 「そ、そういうわけじゃないんですけど」 と歯切れ悪く言い、閉まったままの戸をちらと振り返った。 「なんだか……悠紀ちゃんを見る目が厭なんです」
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