第一章 目覚め

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「うん、ちょっと昔のね。しかし、横浜館かあ。僕はあんまり勧めないけどねえ。  事故現場なんかに行って、また何か強いショックでも受けたら―」 「でも、篠宮先生が行ってみろって」  篠宮くんがね、と溜息をつく。 「まあ、彼の方が専門だから、そう言われると、僕は口を挟めないよ。  確かに記憶を取り戻すのなら、あそこに行った方がいいだろうけど」  僕はまだ養生してた方がいいと思うんだけどねえ、と不満げにぶつぶつ言っている。  それでも、 「まあ、上には話し通してあるから。葛西くんたちと離れないようにね」 と笑顔で見送ってくれた。
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