第一章 目覚め

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   横浜国立博物館、通称横浜館が爆破されたのは昨晩のことだった。  遅い梅雨明けを迎えたばかりの海岸線沿いは寒く、葛西は風を避けるように防波堤の陰にしゃがんでいた。  レンガ造りの横浜館は警官隊とパトカーに囲まれ、サーチライトの照射する光でライトアップされている。  なかなか美しい情景だったが、その大仰さに葛西は呆れた。  『日曜七時、ホルスの眼とEARTHを頂きます 卑弥呼』  そんな予告状が横浜館に届いたのは木曜日のことだった。
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