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もう八階分は来ている。
悠紀は下を見ないようにしていた。
さっきうっかり見てしまったら、こちらを心配そうに見上げている警官二人がやけに小さく見えて一層怖くなったからだ。
ああでも、これって、足でも踏み外したら― と思ったとき、
「足を踏み外さなきゃ大抵の場合、大丈夫だ」
抜群のタイミングで葛西が余計なことを言う。
「ほら、来いよ」
葛西の手が悠紀の腰に触れ、思わず悲鳴を上げた。
「何処触ってんですかっ!」
「てめえが来ねえからだろっ。
てか、暴れんなっ、お前の方がいい度胸だなっ。
俺を巻き添えにしたら殺すぞっ」
「そんときゃ二人とも死んでますって!」
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