第二章 横浜館

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「奇麗ですね」 「そうだな。俺もこの眺めは嫌いじゃない」  ……なんだか懐かしいような。  そう目を細めたとき、よしっと葛西が立ち上がった。 「えーっ!? もうですかあ」 とへたり込んでいた伊集院が覇気のない声で言う。 「時間ねえんだろうが、ほら」  人の話など聞いちゃいない葛西は、伊集院を急かす。 「まったくケモノなみの体力なんだから」 とぶつくさ言って下り掛けた伊集院の膝に、葛西が後ろから蹴りを食らわせる。  この世のものとも思えない悲鳴が上がった。 「……ひ、人でなし」
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