第二章 横浜館

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「あー、葛西さん、見て見て、ほら」  悠紀は気を逸らすように、目の前の白い偽扉を示す。 「ほら、こうやって、大抵、小さな扉の周りを大きな扉が囲んで、二重三重になってるんですよ。  で、この上から下に中央にずっと連なっているのは、二匹の蛇に囲まれた日輪。  まるで日本の神社の御神鏡みたいだと思いません?」  あれは、遥か遠くエジプトから伝わってきたものだったのか、それとも、何処の世界でも敬うものは似てくるのか。 「どうでもいいけど、お前やっぱりエジプトに詳しいな」  葛西の呟きに、興味があったんですかね、と悠紀は自分でも首を捻る。
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