第一章 目覚め

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「悪戯に決まってんだろ? 今どき予告状出す泥棒なんて居るかよ」  そう吐き捨てると、それが居るんですよねえ、と伊集院が言う。  伊集院の祖父は元警察官僚らしいが、何故か彼はノンキャリアの一刑事に過ぎなかった。  借り出されている交通機動隊所属のスポーツカーの上にノートパソコンを広げ、こちらに向ける。  葛西とは対照的な、如何にもおぼっちゃまといった風情の顔を、その灯りが照らし出した。 「見てください。  パリを中心にヨーロッパが多くて、ほとんど日本には現れてないんですけど、なんと八十年前から居るんですよ、卑弥呼って」 「いくつのババアだそりゃ」
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