第二章 横浜館

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「新堂ゼミの助手で、東堂と申します。  システムの確認に」  新堂? そう言った葛西の袖を伊集院が引く。 「ほら、此処の警備システムを作り上げた新堂教授のゼミですよ。栖鳳学園の」  ああ、と葛西はどうでもいいように頷いた。  EARTHの正面に居る悠紀に、東堂は言う。 「あまり近寄ると、警報機が鳴りますよ。  それとも― この警備を解除する自信がおありとか?」  不思議そうに見上げた悠紀に、笑顔らしきものを向ける。 「貴女がそこの棺から発見されたお嬢さんでしょう?  北館地下の制御システムを爆破して侵入されたんでしょうかね?  暴力的な遣り方はあまり感心しませんが」  美しくない、と言う。  そんなことに美しいも美しくない。  第一、あの爆破がそのとき既に棺に入っていた自分の仕業であるはずもなかった。
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