第二章 横浜館

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「普通は無理だと思いますが。  ただ、このEARTHの前のセキュリティよりは簡単かもしれませんね。  例えば……新堂ゼミの人間なら動かせるかも」 「ゼミの中に裏切りものがいるってことか?」  さあ、わかりませんけど、と伊集院は呟く。 「何かあったときのために、緊急停止用のパスワードがあるとは聞きました。  今の美術館は皆、作動すると犯人を封じ込めるようになっていますから。  誤作動して勢いついたシャッターや扉に人が挟まれたりすると困りますから」  話し込んでいる二人に、あのーと側に付いてた警官が遠慮がちに呼びかける。 「そういえば、噂に聞いたんですけど、一応、ICPOからも万が一のことを考えて、刑事を派遣するようになってたとか。  上の人たちが挨拶しようと捜しまわってましたよ。結局、見つけられなかったみたいですけど」  その言葉に二人は黙り込む。
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