第二章 横浜館

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「おおそうだ、これがお前が入っていた棺だ」 と葛西はご機嫌のまま手招きする。  そこには黄金の装飾を施された人型の木棺が横たえられていた。だが、その蓋には無残な亀裂が数箇所入っている。 「無茶しますよね~、葛西さん」  こりゃ弁償じゃ済まないんじゃないかと他人事ながら青くなる。 「人命救助だろ?  ガタガタ言ってたからさ。  死にかけた人間とかが入ってたら、やばいだろうと思ってな」 「普通、死んだ人間が入ってるもんなんですけどね……これ」 --  中のミイラは隣のガラスケースに展示してあった。それを見ながら悠紀は呟くように言う。 「ミイラって― 呪いだと思いません?  永遠に縛り付けられる呪い。  古代エジプトの人は、甦るためにミイラを残したっていうけど、前の身体があったら、その魂は何処にも転生できないような気がする」 「何が転生だよ。人は死んだらそれで終わりだ」  素っ気無いその言葉に、妙な清々しささえ感じて、葛西さんらしいですね、と笑った。
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