第一章 目覚め

8/36

360人が本棚に入れています
本棚に追加
/285ページ
「でもさ、卑弥呼追ってるったって、ICPOって逮捕権ないんだろ?」 「今はありますよ、一部のみですけど」  そんな与太話をしていたとき、総合指揮車から戸田課長が戻ってきた。  ダレてんな、葛西、と言ったが、小さい身体に丸い顔、薄くなり始めた頭髪を疲れたように丸めた書類で叩くその姿こそ、ダレていた。 「だって、俺ら居たってやることないでしょ? 山を賑わすんなら、他所の枯れ木にしてくれってんだ」 「仕方ないだろ。うちが一番横浜館に近いんだから」  レンガ造りの横浜館を見上げ、戸田は溜息を漏らす。 「しっかし、呪われてるな~、この建物」
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

360人が本棚に入れています
本棚に追加