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日本人社会のテリトリーはそんなに広くないんだから、どこかで再会できるかもよ、などと話した1週間後、僕はこの光源氏に会うことになる。
壁に架けられた絵の前にすらりと立つ男は、「この絵を描いた人に会いたい」と、少し緊張した、生真面目な顔で言った。
僕は、絵とその男を何度か見比べてみる。
……間違いない。こいつだ。
「わかりました」にっこりと笑う。
それは、素晴らしい出会いになったはずだった。
けれどこの光源氏が、なかなかめんどくさい男だったことに、僕はあとで気づく。
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