星降る夜の夢

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ふと気づくとカウンターに臥せて寝ていた。 隣の席には誰の姿もない 全て夢だったのかとも思ったがそんな筈もない。 いや、久葉野氏の言うにはこれも夢なのか、それも有り得まい。 頭を起こすとカウンターの中から店の主人が醒めた目で見て来た。 なんとなく気まずい雰囲気を感じたので黙ったまま所在なさそうにしていると、主人の方から話し掛けて来た。 「タルちゃん、今日はどうしたんだ?」 「え、何が?」私は戸惑って尋ねた「それに隣の席の男性は?」 すると主人は「やっぱり覚えていないのか」と言いながら一枚のコピー用紙を渡して来た。 主人の言うには、私が寝静まった後で久葉野氏に何か白い紙が欲しいと言われて咄嗟に渡したものらしい。 それには手書きで次の様に書かれてあった。          急告 墫島○○殿 突然ながら本日限りで貴殿を当短歌会より除名致します。 尚、貴殿の今後に於ける当会への出入り及び投稿の一切を禁ずると同時に、貴殿の本日迄の当会への会費未納分の全額を不問とする。        ○○短歌会新会長 久葉野○○
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