2 始まり

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  どこまでも どこまでも 漆黒の草原は 広がっている。   神様は、空の天井に ビロード絨毯を 覆い被せて、 世界を 真っ暗にしてしまった。   キラキラした 星の模型が 幾つも幾つも その絨毯に ちりばめられている。   その中のひとつに アルタイル星は在った。   それを見上げながら わたしは 頭の中でつぶやいた。   「キレイだ  きっと  わたしが見ている  全てのものの中で  一番あれがキレイなんだ」   夜風が足元を通り抜ける。 夏の夜風は 少し冷たいけど なんだかわくわくする。 わたしは その草原のはずれの脇道で 最終バスを待っていた。  
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