2 始まり

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  バス停の看板には 時間が書かれていない 行き先だけが 消えかかった文字で 記されている       「アルタイル星行き」       犬のノアが 眠る前に こっそり言ったことがある   「僕はこれから  アルタイル星に行くから  君が来るまで  ずっと待っているよ」   彼はそう言った後 次の日から いなくなってしまった。   それは とても昔の話で それからというもの わたしはずっと アルタイル星に行く方法を探してた。   100冊の 地図や 辞典や 小説を買って 100人の 先生や 警察や ドクターに聞いたけど 結局わからなくて わたしはしばらく 泣いて過ごしてた。  
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