一章・どうしよう

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  「…………ッ!!!」   言葉は出なかった でも、行動は出来た   僕はいつの間にか、テーブルを力のある限り思い切り叩いていた   息を吸い、吐く   今更になって僕は少しの間、呼吸が出来ていなかった事に気が付いた 心拍数が脈を計っていないにも関わらず、跳ね上がっているのが分かる   嫌な汗が、背筋を伝った   ふと、周りをみるとざわめきが起きていて全てと言っても過言ではない視線が痛いくらいに僕へと向けられていた この緊迫感に、僕以外の誰一人気付いていなかったみたいだ   「……ほう……」   『白』はいつの間にか持っていた片手のティーカップを音無く受け皿に置きつつ、まだ呼吸の整っていない僕をその鋭い瞳で一見した   「……逃げるかと思ったのによ、上出来だ!!」   『黒』は更に椅子の背へ体重を預け足を下ろし、頭の後ろで手を組んでまだ心拍数が落ち着かない僕にその無邪気な笑みを向けた     黒と白は僕を見る 僕は俯いて、答えを返す事が出来ない    
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