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「そうですか、では先に彼女の元へお願いします……そう手間は取らないと思いますので」
「んー?……ああ『蒼』ちゃんところか、りょーかい」
「……では、後程」
僕には介入する隙も術も無く、あまりにも勝手に話は進められた
そして『黒』は『白』の言葉を聞くとニンマリと笑って身を翻しゆっくりと歩き立ち去ってしまった
その場に残って、『黒』の背中を見届けた『白』と僕
『白』さんとふたりきりって何かヤだな
この人あんまり喋んないんだもん
目が怖いし……
なんて事を一人で考えてたら、『白』は僕なんか見ずに歩き出していた
さっきの二人の話の流れからすると僕は『白』についていかなきゃならないみたいだし、僕は慌てて『白』の後を追い掛けた
暫くすると、小さなサーカスみたいなテントが僕らが歩いてきた細い路地を堂々と塞いで居座っていた
見た目は酷くボロボロで、一歩でもそこに足を踏み入れたら一瞬で崩れてしまいそうな気がしてならない
というか、寧ろ廃墟になんじゃないのコレ
でも『白』は躊躇している僕を一瞥して、何食わぬ顔してそのテントの中へと歩を進めるもんだから僕も仕方無しにそこへと足を運んだ
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