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中に入ればそこは、別世界だった
外は今にも潰れそうな程で、御世辞にも「綺麗だ」なんて到底言える代物じゃなかった
なのに中はまるで立体過ぎる程のプラネタリウムにも似た空間が広がっていた
プラネタリウムみたいなと表現したのは、照明らしきものは一切無い真っ暗な空間なのにそこに散らばる[物]達が自己の存在を主張するかの様にハッキリと見えたから
鮮やかな赤色の液体を入れた小瓶や
落ち着いた青色の切り硝子のグラス
可愛らしいテディベアや
何に使うかは分からないアンティーク調の機械
他にも色々
台とか床なんか一切見えない
勿論、道も見えない
なのにそこにあるとハッキリ確認できる
しかも、ブラックライトで照らした蛍光材なんて感じじゃない
不思議、としか本当に言い様がない
『白』は静かな足音を立てながらゆっくりと進んで行く
僕も周りの色んな物に意識を目移りさせながら、ついていく
奥に行けば行く程、そこは研究所のような雰囲気に変わっていった
緑だか青だかよく分からない色の液体を入れられアルコールランプにかけられたぐにゃぐにゃと入り組んだ硝子の管とか
何の何処の器官なんだと訊ねたくなるような奇怪なホルマリン漬けとか
三角フラスコ、メスシリンダー、ビーカーにメスにピンセット
元は一体何なのかよく分からない禍々しい標本まである
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