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  ふと、『黒』が見せたあの嫌そうな顔が浮かんだ   ああ、そっか この声の主、おそらく『紅』であろうこの人に弄られるのが嫌で、来なかったんだ 子供みたいな、この声の主に   この大人びた『白』でさえ、ちょっと苦手そうだもんなぁ でも、そんなに嫌な人なのかな   「……さて、こんな口喧嘩をしに此処へ訪れた訳では無い事、貴方もお分かりでしょう?」   《……イイじゃんか、久々なんだからよ……このままでも十二分に話は出来るし?遊び足りないし?……》   「……良いから早く出てこい」   『白』は苛立ちを隠さずに何処から聞こえてきているのか分からない声に問いかける しかも最後はさっきまでの敬語まで無くなった程だ、相当怒ってる   でも、相手は全くと言って良いほどふざけた様子を止めようとはしない 正に楽しさが生き甲斐、と言わんばかりだ     こんな感じでも、仲は悪くないんだろうな   ちょっと、羨ましい……     なんて、ぼーっと考えてて気を抜いていたら……     僕の[耳]に生暖かい[息が吹き掛けられた]       「うああああっ!!!?」   「あっははは!!ビビってやんの!!」   僕が耳を押さえて後ろを振り向けば                         『紅』が   果てしない真紅が、そこに居た                    
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