第一幕

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 その鬼を朝廷より命令され討伐したのが我らが御剣家の初代当主、京極高天(きょうごくのたかま)や。  彼は陰陽道をおさめとった。その力を使って逃げた姑獲鳥を追い詰めることができた。  高天は4つの式を操りこの姑獲鳥を封印した。  しかしその術式は完全にはかけられなかった――。  姑獲鳥はすでに子を成し、その子どもを殺す力も残っていなかった高天は自分の魂と血を4つの式に分け与え、自分の血脈に縛り付けた。 この姑獲鳥の一族が今後人に害をなすことがないよう未来永劫見張るように。  これが、応仁の乱の時分の出来事や。戦火に乗じ起こってしもうたこの事件は、伝説以上の物にはならず、公的な記録からは消えた。  それからや。高天の一族に定期的に4人の超人が生まれるようになったんは。  彼らは哨戒士(しょうかいし)と呼ばれ、最初の姑獲鳥の成した子どもたちを見張るようになった。彼らは高天の式神が人の身体を借り現世に生まれたものとして特別視された。そして高天自身も、哨戒士ほど頻繁やないけど、生まれ変わる。何度も。 そして他の哨戒士を導き、姑獲鳥が人の世に害をなすのを妨げてきたんや。 ***
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