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「おい、高天。暗い顔してんじゃねえぞ。とにもかくにも今は一刻も早く他の二人を連れてこねえといけないんだから。」
「そうやな。残るは胡蝶と菖蒲の二人――。
特に胡蝶は能力の特徴として目立つ。
今御剣家と神薙家に呼びかけて胡蝶の力を持っている可能性の高い若者を選んでリストに挙げてもらっとるんやけど…。時間かかっとるな。」
「まあ昔に比べると御剣家の道場に出入りする子どもの人数は減ってるからな。難しいだろう。」
「今は部活とかの成績が急激に伸びたやつを探してもろうとる。せやけど部活やっとるやつも少のうてな。」
「時勢だな。」
「まあ儂らは儂らでやれることをやるだけや。とりあえず、封印強めといてくれよ。」
「ああ。」
「封印?」
二人の話につい入ってしまった。くるっと二人の顔が同時にこちらを向く。
「ああ――哨戒士の血には姑獲鳥を寄せ付けない封印を結ぶ力があるって信じられてるんだよ。実際、力の弱い姑獲鳥単独なら入ってこれないようにできてる。ま、限界はあるし、コロニーの上位の姑獲鳥に対してはモスキート音位の嫌がらせだな。」
「モスキート音?」
「あれ?知らないのか?あれだよ、若いやつにか聞こえない不快な音。」
「知らないです…。」
「深夜のコンビニとかでヤンキー除けに使われてるんだよ。」
「おいおい、話がそれとるぞ。都の東西南北に位置する神社を柱とした封印で、哨戒士の血によって強化される。」
「血…。」
「そんな怖がんなよ。お前にやれとは言わないから。」
爽矢さんにそう声をかけてもらったが、そういう問題じゃないんだが。
僕はまじまじと自身の掌をみた。
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