第五幕

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血。  僕らを縛るこの血。一体なんだというのだろうか。  僕たちの家、御剣家は代々この古都京都を陰で守ってきた一族だ。  僕らを縛るこの血は何なのだろう―――。  初代高天の血など、僕らには蚊ほども通ってはいないだろうに。  その時、唐突に声が聞こえた。 “知っておろう。これは呪いだ。” 「え?」 「「うん?」」  耳元で誰かにそういわれたような気がして慌てて顔を上げるが、視界に入るのは爺様と爽矢さんのふたりだけだった。 「今、どっちか何か言いました。」 「いや、なんも言ってねえけど?」 「どうした?居眠りか?」  居眠り?していたのだろうか?いやそんなことはないはずだ。じゃあ誰が?  ためしにもう一度耳を澄ませてみるも、もう何も聞こえない。  空耳?それにしては随分はっきりと聞こえた。  女の人の声だった――。知らない人の声。  僕はこの声を、どうしてか忘れることができなかった。  この声の正体――僕がそれを知るのはずっと先のことになる。  すっとずっと、先のこと。
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