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数日後、健と僕は、北山のコンサートホールの前で待ち合わせをした。
地下鉄北山駅のすぐ横にあるコンサートホールには、一度だけオーケストラコンサートを見に来たことがあったが、その当時は幼く、その価値が分からず、すぐトイレに立ってしまったなと、思い出にふけっていると、
「高兄。」
健だった。ラフな格好をした健は、小学校の頃より大人びていて、でもやっぱりどこか幼い感じだ。
「ああ。」
「お待たせ。」
「いや、僕も今来たから。」
「そっか」
健は、徐々に元の肉付きを取り戻しつつあるように見える。
叔母さんも安心しているだろう。
「最近、調子は?」
「いい感じ。あの日記にちょこちょこ書いてあった、力を抑える訓練?やってるからかな。」
「そっか…。」
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